さて、突然ですがみなさんがよく利用する乗り物はなんでしょうか?
私は電車(在来線)が多く、次に路線バス、その次が自家用車といった感じです。旅行などで片道1時間程度かかる距離なら新幹線を利用することが多いのですが、目的地によっては在来線や自家用車を利用することもあります。
急に乗り物の話をしたのには理由があります。ここ数年で大企業をはじめとして終身雇用制度が崩壊しています。
にもかかわらず、会社の役割を長期の雇用が保証された集団であるという認識は、相変わらず経営者や労働者を問わず多いと感じられます。
終身雇用制度の中の会社を家や親族のつながりと表現するなら、流動性の高い労働市場の中の会社は乗り物のようなものだと私は考えています。
自分の人生という道をどのように進んでいくかは、個人個人の考えや価値観で大きく変わるはずです。
なので、大企業の社員をはじめとする会社員全般を否定するのもおかしな話ですし、個人事業主(フリーランス)こそ至高といった言及も違和感を覚えます。
単に、ある人にとっては大企業がいいし、ある人にとってはフリーランスがいいというだけのことでしょう。
どの乗り物を利用して自分の人生を楽しむのかは自分で考えなければならないことなのです。今回は、会社が雇用の保証機関ではなく単なる乗り物であるということについて言及していきます。
この記事をご覧の方には「仕事なんて所詮は金もうけの手段にすぎないということを忘れてはいけない」も参考になります。
私は今でこそフリーランスとして活動していますが、つい最近まで会社員として働いていました。
以前の記事「【就活生向け】大企業と中小企業で働くメリットとデメリットについて」でも私の経歴については紹介しています。
大学卒業後にいきなりフリーランスとして活動する新卒フリーランスなんて言葉が一時期ネットで話題になりました。ですが、多くの方はそこまでのリスクを取るより、もっとリスクを下げるような動きをするでしょう。
ウェブライターのヨッピーさんが書いた本についての記事「WEBライターヨッピーの書籍「明日クビになっても大丈夫」に学ぶ天職への出会い方」でも触れていますが、会社員をやりながら数年かけて自分の事業を作って独立するという「意識低い系」の起業だって戦略としては十分ありです。
というか私もこの方法で起業しています。
さて、3年~5年ほどで仕事の基本を覚え、独立するつもりであれば、大企業の総合職として就職するのがやはり一番早いでしょう。
営業を経験しておくとよりいい経験になります。
独立する場合はどうしても自社の商品を売る必要があるので、営業の経験を積まずに独立するのはリスクが高いと感じます。
商品が圧倒的な優位性や独自性を持っている場合はその限りではないのですが、リスクマネジメントの観点から考えれば、1年でもいいから営業を経験しておくという方がいいのではないかと思います。
ただ、私のように新卒採用時に大企業を選択しなかった場合などは、現状の採用状況で転職による大企業へのステップアップはかなり難しいでしょう。
そんな場合はあえて逆の選択でベンチャー企業などのより小さい(または新しい)企業に転職してみるのも手です。
ベンチャー企業は良くも悪くも大企業ほどに管理されていません。
なので、マネジメント上の問題に遭遇したり、資金繰りが大変だったり、人材の採用で苦労をしたり、そもそも部署という概念がなく様々な業務を兼任したりと、大企業ではなかなか難しい経験をすることもできます。
給与は仕事内容に比べて低めになることもありますが、自身のスキルアップやステップアップのためと割り切れば、数年は経験を積むことができるでしょう。
数年後には会社と給与面で交渉したり、転職や独立で次のステップに進むことができます。
また、自分の人生で重要なものが何かによっても、勤めた方がいい企業規模が変わってくることもあるでしょう。
家族との時間を大事にするなら、地元の有力企業に勤めるか独立してしまうのが早道です。
また、大企業の地方採用のように、転勤のない職務形態が選択肢の一つになるかもしれません。
そもそも雇われるのに向いている人とそうでない人がいるので、就職活動をしないことや大学在学中に会社を立ち上げてしまうという選択肢だってあります。
全ての人にとって理想的な職場というものはありません。自分が今どうしたいのかやこれから先にどうなっていたいのか、といったことに対しても真摯に向き合う必要があるのです。
ではそれぞれの企業を乗り物に例えてみます。
まずは大企業ですが、大企業は例えるなら新幹線や飛行機のようなものだと考えるといいでしょう。
目的地には最も早く到着することができますし、新幹線や飛行機は移動中も快適です。
ですが、当然ながら新幹線は新幹線の駅にしか停まりませんし、飛行機に乗り降りできるのは空港だけです。
会社としての特徴に戻すと、労働条件や福利厚生、仕事のスキルアップなどはいいですが、キャリアプランの軌道修正が難しかったり、組織的なしがらみも多く、思い切った改革にはなかなか踏み切れないなど、大企業には大企業なりのデメリットもあるのも分かると思います。
次に中小企業ですが、中小企業は在来線や路線バス・高速バスのようなものだと考えればいいでしょう。
新幹線や飛行機ほどには快適な旅ができないかもしれませんが、青春18きっぷの利用や株主優待券、深夜バスなどを利用すれば、スピードが遅いことデメリットを解消することもできます。
とは言え、旅の自由度は比較的低めになるといったところです。
会社としての特徴に戻すと、事業内容や会社の経営理念によっては大企業より充実した報酬や福利厚生が用意されていることもあります。
組織内のしがらみも大企業ほど厳しくなかったりします。
しかし、資本力は大企業には到底及ばないですし、事業そのものが大企業に依存している傾向があります。
組織も風通しのいい企業から官僚的な企業まで中小企業には様々な社風があるでしょう。
今度はベンチャー企業です。ベンチャー企業はタクシーに例えるのがいいでしょう。
行き先さえ告げればどこにでもあなたを運んでくれますが、運行料金は高めです。遠出をするなら新幹線や飛行機、電車やバスを利用した方がコスパもいいのですが、何より旅は快適で、自由度も高くなります。
会社としての特徴に戻すと、自身のキャリアプラン構築に裁量が大きく、自分次第でどのようなスキルを身につけるか選ぶことだってできます。
ベンチャー企業とは言ってもまがりなりにも企業ですから、いきなり会社が潰れてしまうような危険は低いでしょう。
ですが、マネジメントはザルもいいところで、大企業や中小企業で勤務した経験のある方には信じられないような慣習や非効率なルールがあったり、必要な部署や人員がいないといった、組織として未完成な部分に目がいってしまう人もいます。
最後に自営業(フリーランス)です。
ベンチャー企業をタクシーに例えるなら、フリーランスは自家用車になるでしょう。タクシーよりさらに自由度が高く、自分次第でどこにもいけるし休憩や寄り道も自由にできます。
ですが、運転はあくまでも自分で行う必要がありますし、飛行機や新幹線、電車やバスに比べると移動の効率も悪いです。
また、コスト面もタクシー利用の方が維持コストがかからない分自家用車より得だと言われるように、自由な分コスパとしては悪いところもあります。
会社としての特徴に戻すと、自分次第で報酬は青天井にできますし、うるさい上司との関係などに悩まされることはありません。
ですが、あくまでも自分に依存した事業を運営するので、下手をすれば無収入になることもあり、労働者のように労働法で保護されることもありません。
企業と比べて資本力に劣るため、世の中に大きな変革を起こしたりするのは難しいかもしれません。
さて、ここまで大企業、中小企業、ベンチャー企業、フリーランスを乗りものに例えて紹介しました。
意外とイメージが付きやすかったのではないかと思っています。
やはり、今の職業感では会社を家族や親族などのような繋がりと考えるより、目的地まで連れて行ってくれる乗りものと考える方がしっくりくるでしょう。
当然ですが、自分の価値観でどの乗りものがいいかは変わります。
遠出をするなら新幹線の方が楽です。ただ、自家用車の方が自由な旅ができるのもまた事実です。
お金があればコストがかかってもタクシーを利用するという方もいるでしょうし、高速バスでコストを抑えつつのんびり旅をするというのも素敵です。
以前の記事「現時点では崩壊している終身雇用制度のメリットとデメリットについて」でも言及しているように、新卒採用で大企業に就職して定年まで勤め上げるのが大多数の人にとっての正解ではなくなりました。
自分の人生をどの乗りものを使って進んでいくかは自分が決めなければなりませんし、時には乗り換えが必要になることもあるでしょう。
もちろん、ずっと同じ乗りものに乗ってたっていいのです。
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私が会社員のメリットを十分に理解しながら、最終的には独立という選択肢を採ったのも、仕事と報酬について考えた結果、独立した方が得であると判断したからです。
昔は、仕事をするならある程度の規模の組織であることの方が有利でした。
なので、多少損であっても会社員として働いた方が結果として得でした。
ですが、今では組織の大小が必ずしも成果に直結しなくなってきています。
会社組織の運営や、そのあり方について、もう一度よく考えなければいけない時代になっているのかもしれません。
一生同じ会社で働くつもりの人も、将来独立しようと考えている人も、転職や起業という選択肢を全く無視することはできない時代です。
もしかしたら会社が倒産してしまうかもしれませんし、ある日突然リストラされることになるかもしれません。
どんなにその会社が好きであっても、転職や独立の可能性を視野に入れながら行動するクレバーさが求められています。
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この記事をご覧の方には「35歳までに2回の転職をおすすめする理由」も参考になります。
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