ピアノを弾けるようになるために必要となる能力は、左右5本ずつの指を自分の意思で自由に動かせる力と言い換えることができます。
ピアノを弾く技術がどの程度あるか簡単に判別する方法に、「薬指だけ曲げることができるか」というものがあります。
薬指を動かそうとした時に中指や小指が同時に動いてはダメです
一番上の動画のような動きが特別意識しなくてもできれば合格です。
大抵の人は19秒ぐらいからの例のように、薬指を動かそうとすると中指や小指も同時に動いてしまうのではないでしょうか?
ピアノのように指を1本ずつ別々に動かすような訓練をしていない人は、指を別々に動かす、特に薬指と小指を別々に動かすことを極めて難しく感じることだと思います。
試しに妻にお願いしたらできませんでした。
これは指を動かす神経に原因があるようで、薬指と小指の神経は非常に近く、ほぼ繋がってしまっているような状態になっているそうです。
なので、練習(=訓練)をしてその繋がりを外してあげないといけないのです。
もしかしたらピアノをやっていなくても、他の楽器やスポーツで指を意識して動かさなければいけない練習をしている方、または非常に運動神経のいい方であれば難なくこなせるかもしれません。
が、ほとんどの場合は小指が一緒に動いてしまうでしょう。
ピアノ曲に挑戦しても、すぐに諦めてしまいたくなることがあります。
そんな時に、多くの人は「自分にはリズム感がない」とか「自分には才能がない」などと感じたり考えたりすると思います。
ですが、ほとんどの場合にはその感想は間違っています。
単純に左右5本ずつの指を別々に動かすための訓練が足りていないのです。
単純に指使いの練習が足りていないのです。
もし、本当にリズム感がなければ、歌ったり踊ったりするのだって苦労するはずです。
たまにリズムが取れない方もいますが、これだってリズムを取る訓練をすれば解消できます。
ピアノが弾けることは、ダンスが上手に踊れることとほとんど変わらないものです。
ただ、体全体を使うのか、指だけを使うのかの違いです。
ダンスもいきなり踊れる人はいないでしょう。ピアノだっていきなり弾けるようにはなりません。
思い通りに体を動かすと言うのは思いの外大変なことなのです。
実は、意外にも運動神経のいい方は楽器の演奏が上手くなりやすいという特徴があります。
スポーツを音楽的に観察すると、対戦形式のスポーツはいかに相手のリズムを崩すのかを競うゲームに観えてきます。
採点形式のスポーツは、いかに気持ちいいリズムで動けることを競うかのゲームに観えてきます。
いかに自由に体を動かすかという点において、楽器の演奏とスポーツではかなり近い考え方をしているのです。
さて、今回はピアノの基礎練習に効果的な、スポーツで言えば筋トレに相当する訓練方法を紹介します。それが「ハノン」です。
ピアノが上手くなりたかったら毎日15分ハノンを(メトロノーム付きで)練習すること、これに尽きます。
この記事をご覧の方には「【ピアノ基礎練習】まずはハノンの1~5、できれば11まで弾けるようになろう」も参考になります。
指使いの訓練は全ての指を使う曲を演奏するのが一番です。
普通の曲でも練習はできますが、薬指と小指を使う頻度はどうしても下がってしまいます。
なので、ドミファソラソファミ…と一音ずつ音を鳴らすような、スポーツで言うところの筋トレのような曲をまとめたものが「ハノン」です。
言葉では伝えにくいので実際に「ハノン」をピアノで弾いてみました。
色々なパターンの指使いを練習することができます。
オーソドックスなハノンの練習曲です。
続けてると♪がゲシュタルト崩壊しそうになるので注意が必要です。
ブランクのせいかミスタッチがあります。
これでもTAKE5で一番ましだったものです。基礎練習が不足していますね。
やはりこちらもTAKE5ぐらいまでいきました。
本当は4回連続ぐらい成功しなければなりません。…だが断る!
パターン変化に慣れておくだけで弾ける曲が増えるから不思議です。
こちらはトリル(ドレドシドみたいなやつ)の準備にもなっています。
基礎を固めるためにハノンを毎日15分程度練習に取り入れると、3ヶ月ほどもすれば格段に指使いが上手になります。
最初の1~2週間は苦痛でしょうがないかもしれませんが、筋トレだって辛いのです。我慢してやりましょう。
3ヶ月もすれば劇的な改善がみられるはずです。
今弾けない曲がすんなり弾けるようになって驚いているかもしれません。
この記事をご覧の方には「ピアノの基礎練習にはメトロノームの利用が効果的」も参考になります。
ピアノに限らず、楽器は1日練習をサボると3日分技術が落ちると言われています。
基本的に毎日練習しないとダメなものです。
ただ、毎日1時間も2時間も練習をするのは苦痛になってしまい、最悪ピアノを嫌いになってしまうかもしれません。
なので、最初のうちは15分~30分程度の練習時間でいいので、とにかく毎日ピアノに触るように心がけるのがおすすめです。
ここで、おすすめの練習方法を紹介します。
もし練習時間が30分だったら、基礎練習(ハノン)に10分~15分、残りの時間で好きな曲を弾くようにするといいでしょう。
基礎練習では、右手、左手、両手を最低1回ずつやっておくことをおすすめします。
できるだけメトロノームを使って練習してください。
スピードは速すぎず遅すぎず程度の60~100の間でいいでしょう。
これだけで指使いとリズムキープの両方の力が向上します。
より効果的に練習するなら録音して自分の演奏を聴いてみるのもいいでしょう。
思ったより音の大きさが揃っていなかったり、思っているよりリズムが取れていなかったりするので、自分の演奏を聴き返すという作業も効果的です。
ちなみに、1日の練習時間を長く取れるようになっても、基礎練習は15分程度でとどめておくのをおすすめします。
基礎練習の時間を長く取れた方が早く上達するのですが、単純に飽きてしまったり嫌になってしまったりする危険性も上がります。
私は幻想即興曲を発表会で演奏するまでの間、1年ぐらい基礎練習30分、本練習30分を最低ラインで保ちつつ、余裕があれば練習時間を2時間程度にして、基礎練習を45分程度行ったこともあります。
後で思い返してみると、ここまでくると本当に修行に近くなってきます。
ゲームで例えると、延々とスライムを狩ってレベル上げをするような感覚です。
趣味でやるレベルであればここまでする必要はないでしょう。
最大で15分程度としておいて、あとは好きな曲を弾けばいいのです。
この記事をご覧の方には「【基礎練習】ピアノの基礎練習や上達方法について分かりやすく解説」も参考になります。
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