今回は連立方程式について解説をしますが、連立方程式は私が塾の講師をした時に初めて担当した生徒が学習している単元だったのでちょっとした思い出があります。
その生徒は数学の点数を半年で50点ほど上げることができたまじめな生徒だったのですが、四則計算や文字式についての理解が伴わないまま中学2年生になってしまっていたので、最初は小学生で習う四則計算の復習から始めました。
その後、文字式についての学習を始め、連立方程式の学習を始めたのは試験の前日ぐらいでした。私はその生徒は今回点数が下がると思っていたのですが、それでも10点ほど点数が上がって喜んでいたのを覚えています。
中学生の数学では、四則計算が分かっているだけでかなりのところまで進めることができます。しかし、小学生で習う箇所の理解が済んでいないまま進めていくと、何も分からない状態になってしまって、テスト勉強の時にも何から進めればいいのか分からなくなってしまいます。
数学の点数が伸びずに悩んでいる方は、まず四則計算での加減乗除のルールを徹底的に学習することをおすすめします。
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連立方程式は、下記にあるような2つの式を「移項」や「加減法」「代入法」を利用してXとYの値を求める式です。
aX+bY=c
dX+eY=f
連立方程式がとける条件として、未知数と同じ数の式が必要という条件があります。
例えば、未知数がXとYの2つであるとき、下の式だけではXとYの値を求めることができません。
3X+2Y=7・・・①
さらにプラスして、下の式があった場合に連立方程式を解くことができます。
5X-3Y=-1・・・②
仮に未知数がX、Y、Zの3種類ある場合は、式も3種類必要となります。
ただし、連立する全ての式が同じ式(両辺を等倍した式)であってはいけません。
例えば、X+2Y=3と2X+4Y=6があった場合、この2つの式は同じ式(両辺を等倍した式)とみなされますから、これらの式だけでは連立方程式を解くことができません。
連立方程式は、aX+bY=c,dX+eY=f,のような2つの式を「移項」や「加減法」「代入法」を利用してXとYの値を求めていきます。
最初に紹介した①・②の連立方程式を解いてみましょう。
①の左辺から3Xを右辺に移項します。
3X+2Y=7⇔2Y=7-3X・・・③
両辺に3を掛けます。(各式におけるYの係数2と3の公倍数)
2Y=7-3X⇔6Y=21-9X・・・④
②の左辺から-3Yを右辺に移項します。(見やすいように左辺と右辺を逆転します。)
5X-3Y=-1⇔3Y=5X+1・・・⑤
両辺に2を掛けます。(各式におけるYの係数2と3の公倍数)
3Y=5X+1⇔6Y=10X+2・・・⑥
④の右辺(21-9X)を⑥の左辺(6Y)に代入します。
21-9X=10X+2⇔19X=21-2
19X=19⇔X=1・・・⑦
⑦を①に代入して
3+2Y=7⇔2Y=7-3
2Y=4⇔Y=2・・・⑧
⑦・⑧より、X=1,Y=2となります。
基本的にはこのように解いていきます。
「加減法」と「代入法」で解ける式は簡単な問題でしかでてきませんから、「移項」つまり「方程式のルール」だけ覚えておけばさほど苦労することはありません。
それぞれの方法についても説明していきます。
加減法が使える連立方程式は、それぞれの式のXかYの係数が等しい場合に利用できます。
例題をみてみましょう。
3X+Y=14・・・①
2X+Y=11・・・②
①・②の式はYの係数が共に「1」なので、加減法を使うことができます。
この場合は①-②でやると楽ですね。
加減法は方程式を算数の筆算のような形で足し算または引き算する方法です。ちょっとやってみます。
3X+Y=14
-)2X+Y=11
X =3・・・③
③を②に代入します。
②⇔2×3+Y=11⇔6+Y=11・・・④
左辺の6を右辺に移項します。
④⇔Y=11-6⇔Y=5・・・⑤
③・⑤より、X=3,Y=5となります。
③を求める時に利用した方法が加減法です。
最初の例題を解いた方法が移項になります。これができれば連立方程式で解けない問題はほとんどありません。
移項をマスターするには、方程式のルールをしっかり理解しておく必要があります。
方程式のルール
この中の2を利用したのが移項です。
では最初の例題③を計算した場合について解説します。
①:3X+2Y=7⇔2Y=7-3X・・・③
このように計算しましたが、この時は両辺から「3X」を引いています。
つまり、3X+2Y=7の式の両辺から「3X」を減算します。
3X+2Y=7
3X+2Y-3X=7-3X
2Y=7-3X
途中式を全て記載するとこのようになります。
この方程式の性質を利用したのが移項です。
左辺、の項どれかをなくす(加法か減法を使う)場合、右辺になくす項の半数(+-が逆転した項)を記載する。
先ほどの3X+2Y=7の方程式において、左辺から「3X」をなくしたわけですから、右辺に「-3X」を記載するということです。
3X+2Y=7⇔2Y=7-3X
式で表すとこういうことです。項が移動するので移項と表現します。
これが使って解ける連立方程式はかなり簡単な部類に入りますが、応用は効くので加減法よりは大切です。
では例題をみてみましょう。
X=2Y・・・①
3X-2Y=12・・・②
こういった式があった場合に、①を②に代入して解くことができます。
②に①を代入します。
3X-2Y=12⇔3×2Y-2Y=12
方程式を計算します。
6Y-2Y=12⇔4Y=12
Y=3・・・③
③を①に代入します。
X=2×3⇔X=6・・・④
③・④より、X=6,Y=3となります。
Yを求めた時に利用したのが代入法です。
中学受験をする場合、必ずと言っていいほど経験するのが鶴亀算です。
鶴と亀の数を足の数から考えるのですが、これは連立方程式を利用すれば簡単に解けます。ただ、小学校ではXやYの未知数を習わないので、未知数を使わずに考えるのは大変です。
塾などでも□や△を使って教えていたりすることがあるのですが、「もうXとY使えよ」と言いたくなりますね。
では例題をやってみましょう。
鶴と亀の数を足すと18になります。また鶴と亀の足の数を足すと50になります。鶴と亀はそれぞれ何匹いるでしょうか?
これが鶴亀算です。連立方程式にすると以下のようになります。ここでは鶴の数をX、亀の数をYとします。
鶴と亀の数を足すと18より
X+Y=18・・・①
鶴(2本足)と亀(4本足)の足の数を足すと50より
2X+4Y=50・・・②
では解いていきます。
まず②の両辺を2で割ります。
X+2Y=25
2Yを移項します。
X=25-2Y・・・③
③を①に代入します。
X+Y=18⇔25-2Y+Y=18
両辺を整理します。
25-Y=18
-Y、18を移項します。
25-18=Y
7=Y⇔Y=7・・・④
よって亀は7匹です。
④を①に代入します。
X+Y=18⇔X+7=18
7を移項します。
X=18-7⇔X=11
よって鶴は11羽です。
答えは鶴11羽、亀7匹でした。このようにして解くと簡単に解けますね。
連立方程式に苦手意識を持つ方も多いと思いますが、計算自体はわりかし単純です。むしろ小学生の時の小数点とか3桁の掛け算とかのほうが計算が面倒だったように思います。
四則計算と方程式の決まりをしっかり覚えておけば解けないことなんてありません。
連立方程式が苦手な方は、まずは四則計算の見直し、次に文字式の計算を見直してみるといいでしょう。どこかで引っかかってしまっていると思います。
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